利尻島【利尻富士町 郷土資料館】

【利尻島の歴史と文化を後世に伝える 郷土資料館】

利尻島には二つの博物館がある。そのうちの一つである利尻富士町郷土資料館は建物そのものから、すでに博物館なのである。

【郷土資料館外観】

この建物は旧鬼脇村役場として建設され、当時には洒落た洋風建築。特徴はアメリカ開拓時代の様式なのだそうだ。北海道開拓当時にこの建て方が流行し、札幌市内や道内のあちこちで見られる。ちなみに「札幌時計台」などもこの様式なのだそうだ。

館内には「利尻の自然」「動物・植物」「生活資料」から「先史室」「水産産業室」など多岐にわたる展示物が用意されている。

近年で最も話題をさらった写真が一枚がある。それは『熊の捕獲写真』である。ちょうど3年前の2018年5月30日に、利尻島には存在しないはずの熊の足跡が見つかった。その時にTVなどでも使用された写真だ。

歴史をたどれば2018年から106年も前に熊が利尻島上陸を果たしていた記録があり、村人がそれを撃退し捕獲した写真なのだ。

『熊捕獲写真』

郷土資料館創設にあたり尽力され、『利尻島郷土資料館ものがたり』の著者 古川氏が、この写真の裏話の記述があったので紹介したい。

それは郷土資料館の資料選定をされていた当時、鬼脇公民館の窓口にすごい剣幕で「誰の許可でこの熊の写真を展示した(怒)!!」と、一人のおじいさんが怒鳴りこんできたらしい。よく話を聞くと、熊は一度上陸したのだが、部落の人たちが驚いて大騒ぎになったので、熊の方も驚いてまた海に戻ったらしいのだ。それを船で追いかけて『マサカリ』で打ち殺し陸へ上げたとの事。それだけなら怒る話ではないようなのだが、理由は鉄砲を持った前列の男たち。全く熊退治に関係のない男たちが「俺たちがこの熊を撃ち殺したんだ」と言わんばかりに立っているのが相当気に入らなく、写真から受けるイメージと事実が異なるからだそうだ。くわしく聞くと、当時はこの写真が出た際に『マサカリ』で打ち殺した人達が黙ってはいられなく、村の中でかなり物議を呼んだらしいのだ。

これは村役場や警察まで巻き込んでの大騒ぎとなり、その為、60年間近くもの間、倉庫に眠っていたとの事。

いやはや、そんな裏話がこの写真にあったとは(笑)。写真だけが事実ではないということか…。

最後に館内に訪れる際は、新型コロナウィルス対策の為、マスク着用をお願い致します。